【3月2日 AFP】ニュージーランドのウィンストン・ピータース(Winston Peters)外相は1日、豪シンクタンクに向けた演説で太平洋地域における「戦略的懸念」に触れ、太平洋島しょ国の間で中国の影響力が高まっていると暗に指摘した。

 ピータース外相はオーストラリアの外交シンクタンク、ローウィー研究所(Lowy Institute)への演説で、ニュージーランド最大の貿易相手国である中国への直接の言及は避けながらも、ニュージーランドが太平洋地域で協力を模索しているとする「パートナー国」の中に、当て付けのように中国を加えなかった。

 太平洋島しょ国は長らくニュージーランドとオーストラリアの勢力圏とみなされていたものの、近年はインフラ計画への借款を通じて中国の影響力が増大。ピータース外相は、ニュージーランド政府が同諸国に関する外交政策を見直すとの考えを示し、同国・オーストラリア両政府は影響力維持のために一層の努力が必要だと強調した。

 さらにピータース外相は「太平洋全体もまた、争いが激しくなる戦略的範囲となった。もはや大国の野心に放っておいてはもらえない」と述べ、そのような状況が太平洋地域での戦略的懸念を生み出していると指摘した。

 一方でピータース外相の演説に先立ち、中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は南太平洋の島国トンガのツポウ6世(Tupou VI)国王と北京で会談。国営新華社(Xinhua)通信によると、習主席は「トンガへの経済的・技術的な支援提供を続ける」と約束した。(c)AFP/Glenda KWEK