【2月28日 AFP】男子では四大大会(グランドスラム)史上最多の通算20勝を誇り、36歳で最年長の世界ランク1位に返り咲いたテニス界のレジェンド、ロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)は、今の若い選手たちが自分やラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)、さらにはノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic)のように、グランドスラムを何回も取るのは難しいかもしれないと話している。

 フェデラーは27日、スポーツの力で困難な社会課題に取り組もうという世界的な運動、ローレウスが主催するワールド・スポーツ・アワード(2018 Laureus World Sports Awards)で、「カムバック賞」と「年間最優秀男子選手賞」のダブル受賞を果たした。

 その授賞式の場で、少数の報道陣を前に口を開いたフェデラーは、グリゴール・ディミトロフ(Grigor Dimitrov、ブルガリア)やドミニク・ティエム(Dominic Thiem、オーストリア)といった選手にもグランドスラムを取る力はあるが、10回は難しいかもしれないと話し、ほんの小さな違いで運命は大きく変わっていくものだと続けた。

「今の状況で、1人の選手が10回グランドスラムに勝つところを見るのは間違いなく難しい。1回か2回取れそうな選手はたくさんいるし、それは簡単に言えるが、10回というのは予想しづらい。正直な話をすれば、私のときだって誰も予想していなかったはずだ」

「ラファが全仏オープン(French Open)を何回取るかといった話なら、何回かは取るだろうと言えた。ビョルン・ボルグ(Bjorn Borg、スウェーデン)のようにジュニア時代から飛び抜けていたから、5回は取るだろうと言うことができた(実際には10回)。テニス史に名を残す10代だったからだ」

「ノバクや私のように、あるときいきなりすべてがうまくいくようになり、振り返らず突き進んで、何年か経ってふと振り返ってみたら、8個か10個のグランドスラムのタイトルが手に入っている。クレイジーな話だよ」

「自信と勢いが大きな要素になる。成功を通して自分のゲームを解き放ったり、足りないピースを一つ教えてくれるコーチで局面は変わるんだ」

 それでもフェデラーは、自分やグランドスラム優勝16回のナダル、12回のジョコビッチ、そしてアンディ・マレー(Andy Murray、英国)がついにはラケットを置く日が来たとしても、テニスが衰退することはないと考えている。

「テニスというスポーツは、いつだって何かの形でチャンピオンを生み出すものだし、私はテニスの未来を心配してはいない。私たちの足跡をたどり、次のチャンピオンになる選手は必ず現れる。私たちトップ選手はテニスを覆う影のようなものだ。若手は明らかに私たちのせいで開花を阻まれている。それでもわれわれがいなくなった後も、テニスはすごくエキサイティングであり続けると思うよ」 (c)AFP/Pirate IRWIN