【2月27日 AFP】地球温暖化が原因でオウサマペンギンの約70%が今世紀末までに死滅する恐れがあるとの研究結果が26日、発表された。威風堂々とした姿のオウサマペンギンだが、このままでは絶滅に向かうことになると研究者らは警鐘を鳴らす。

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 オウサマペンギンは魚やイカを餌としている。しかしそれら生き物の生息海域は気候変動によって移動しているため、ペンギンもより長距離の移動を余儀なくされることとなり、その結果、陸上で待つ幼鳥の給餌にもより多くの時間がかかるようになる。

 英科学誌ネイチャー・クライメート・チェンジ(Nature Climate Change)に掲載された論文の共同執筆者で、仏ストラスブール大学(University of Strasbourg)とフランス国立科学研究センター(CNRS)に所属する個体群生態学者のセリーヌ・ル・ボエ(Celine Le Bohec)氏は「大半の集団繁殖地(コロニー)では今後、親鳥による餌探しのための夏季移動が非常に長くなるなるため、待っている幼鳥が餓死する恐れが出てくる」と指摘した。

 ル・ボエ氏は、AFPの取材に「地球温暖化が現在のペースで進行し続ければ、この種は絶滅する恐れがある」と語った。

 またル・ボエ氏と研究チームは、オウサマペンギンのつがい110万組が数十年のうちに現在の繁殖地からの移動を余儀なくされると予測している。現在の傾向が続くと、地球の気温は2100年までに19世紀半ばの水準より3~4度上昇する。

 地球表面温度の上昇幅を、世界197か国が参加する地球温暖化対策の国際枠組「パリ協定(Paris Agreement)」が目標に定める2度に抑えたとしても、明確な目的地がないまま現在の繁殖地から移動せざるを得なくなるオウサマペンギンの数は、全体の約半数に上る可能性もあるという。

 問題なのは、適切な代替地がほとんど存在しないため、採餌を取るか繁殖を取るかの、勝算のないジレンマが生じることだ。

 論文の筆頭執筆者で、モナコ科学センター(Centre Scientifique de Monaco)のロビン・クリストファリ(Robin Cristofari)氏は「南極海(Southern Ocean)には島が数えるほどしかなく、しかもその全てが大規模な繁殖コロニーを支えるのに適しているわけではない」と指摘している。