【2月26日 AFP】韓国で25日に閉幕した平昌冬季五輪で、北朝鮮の選手らはメダルを獲得することはできなかった。北朝鮮問題の専門家らは、それでも北は外交戦術では金メダル級だったと評価する一方で、五輪がもたらした緊張緩和は長続きしないという見通しを示している。

 開会式では韓国と北朝鮮の選手らが統一旗を掲げて共に入場。またアイスホッケー女子の南北合同チームは、最終戦終了後に抱き合って涙を浮かべ、多くのファンの胸を打った。

 強い融和ムードの中、北のほほ笑み攻勢の最大の目玉となったのは、金与正(キム・ヨジョン、Kim Yo-Jong)党中央委員会第1副部長による開会式出席だった。

 金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長の妹であり、1953年の朝鮮戦争(Korean War)終結以降、金日成(キム・イルソン、Kim Il-Sung)国家主席の直系親族として初めて韓国を訪れた与正氏は、文在寅(ムン・ジェイン、Moon Jae-in)韓国大統領と歴史的な握手を交わした。

 専門家らは、北朝鮮が今回の五輪で目指したのは、はなからメダル獲得ではなかったとみている。「すべてはイメージづくりだった」と話すのは、韓国の首都ソウルにある北韓大学院大学(University of North Korean Studies)の具甲祐(Koo Kab-Woo)教授だ。「『ならず者国家』ではないと証明して見せた上、制裁も回避した」

 平昌五輪への参加表明を何年も先延ばしにした北朝鮮は結局、選手に加えて200人以上の女性応援団を派遣。応援団は会場で満面の笑みを振りまいて友好のウエーブを起こし、多くの観客の注目の的となった。