【2月26日 AFP】ミャンマー軍がイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)に対する弾圧を開始し、大規模な難民危機を引き起こしてから6か月が経った。バングラデシュに通じるミャンマーの国境地帯に今も毎週押し寄せている多数の難民たちは、おびただしい数の拷問や殺人が行われていると証言している。

ミャンマー西部ラカイン(Rakhine)州の村で起きている軍のロヒンギャ弾圧について、国連(UN)や米国は「民族浄化」だと呼んで非難している。

 最近到着した難民の一人、ヌル・モハマドさんは出発を許可されるまでの数日間、故郷のラカイン州の村で仏教徒の自警団らに取り囲まれていたと言う。「仏教徒らは家に火を放ち、私たちを監禁して飢えさせている」、「村々は徹底的に破壊されている。私たちは数日間、山々を歩き続けてここにたどり着いた」とムハンマドさんは語った。

■連行される若者たち「戻って来るのは10人中1人だけ」

 エナイェツラさん(30)は、23日にバングラデシュとの国境を流れるナフ(Naf)川を渡ったロヒンギャ200人のうちの一人だ。隣人たちの大半は焼け落ち、荒廃した村々をすでに後にしていたという。家を追われたロヒンギャは昨年8月25日以降、計70万人に上っている。

 AFPの取材に応じたエナイェツラウさんは「私たちはこの数か月間ずっと、事態が好転するのを願っていた。だがこの数週間、治安部隊が若者たちを次々と連れ去っている。10人連れて行かれたとすれば、戻ってくるのは1人だけだ」と語った。

 ミャンマーの治安部隊は、ブティダウン(Buthidaung)近郊のモグナパラ(Mognapara)村にある家からエナイェツラウさんと兄弟3人を追い出そうと、店に火を放ったとも言う。 

 
 
 

■2月だけで2500人超が難民キャンプに

 バングラデシュ、ミャンマーの両政府が、ロヒンギャ難民の帰還について協議を行っている間も、難民の流入は続いている。危険な旅の末に国境を越えた人々の数は、数日間で数十人のこともあれば200人のこともある。バングラデシュの過密状態の難民キャンプに入所した人々は、2月だけでこれまでに2500人を超える。難民や監視団体によると、軍による弾圧でロヒンギャが住む数百の村で火が放たれたという。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch)の23日の発表によると、昨年11月以降だけでさらに55の村々が破壊された。