【2月25日 AFP】クウェートでメイドとして働いていたフィリピン人女性の遺体が冷凍庫から見つかった事件で、レバノンとフィリピンの当局は24日、シリアの首都ダマスカスで女性の雇用主だった夫婦が身柄を拘束されたと発表した。

 事件は1年以上前からクウェートで消息不明となっていたフィリピン人メイドのジョアンナ・デマフェリス(Joanna Demafelis)さん(29)が今月になって冷凍庫から遺体となって発見されたもの。デマフェリスさんの雇用主だったレバノン人のナデル・エッセム・アサフ(Nader Essam Assaf)容疑者と妻のモナ容疑者がデマフェリスさん殺害の容疑で国際刑事警察機構(インターポール、InterpolICPO)に国際手配されていたが、レバノン当局は24日、容疑者夫婦が前日朝にシリアの首都ダマスカスで身柄を拘束されたと明らかにした。

 ICPOの国際逮捕手配書に基づき夫のアサフ容疑者の身柄はシリアからレバノンに引き渡されたが、妻のモナ容疑者はシリア国籍だったためシリアで勾留されているという。アサフ容疑者については現在、クウェート当局に逮捕歴などを照会している。2人はクウェートを出国した後、ごく短期間レバノンに滞在して隣国のシリアに向かったとされる。

 フィリピン外務省は前日にアサフ容疑者の身柄拘束を発表していたが、24日夜になってモナ容疑者についても身柄拘束を確認したと発表。フィリピンのアラン・ピーター・カエタノ(Alan Peter Cayetano)外相は、フィリピン当局はロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領の指示に従い、現在勾留されている容疑者夫婦についてデマフェリスさんのために「強く正義を追求していく」と述べた。

 デマフェリスさんの事件をめぐりフィリピンでは激しい怒りが巻き起こり、ドゥテルテ大統領もクウェートを強く非難するとともにフィリピン人のクウェートでの新規就労を全面禁止するなど、両国の外交問題にまで発展していた。(c)AFP