【2月24日 AFP】国際オリンピック委員会(IOC)で理事を務めるジャン・フランコ・カスペル(Gian Franco Kasper)氏が、冬季五輪でドーピング問題の渦中にいるロシアにおいて、メルドニウム(Meldonium)は一般的な医療品のアスピリンのようなものだと述べた。同氏はロシアに科されている資格停止処分を解除するかどうか判断するIOC委員に名を連ねており、その発言は大きな意味を持つ可能性がある。

 OAR(ロシアからの五輪選手)として平昌冬季五輪に出場したカーリングのアレクサンドル・クルシェルニツキー(Alexander Krushelnitsky)が、ドーピング検査でA検体とB検体のいずれもメルドニウムに陽性反応を示し、銅メダルをはく奪された問題について、国際スキー連盟(FIS)会長でスイス出身のカスペル氏は「このような特別な事例はどの国でも起こり得る」とすると、西欧諸国に言及する形で「われわれの国でメルドニウムはアスピリンのようなものだ」と語った。

 カスペル氏はまた、これらの物質がカーリングのような技術系スポーツに影響を及ぼすことはほとんどないとの見解を示している。メルドニウムは主に心血管疾患の治療薬として使用されているが、運動能力を促進させる可能性についても取り沙汰されている。

「マスコミがこのような遊び半分の話題を取り上げることはやめる時期だ」と話したカスペル氏は、棒高跳びの元五輪王者セルゲイ・ブブカ(Sergei Bubka)氏らとともに、平昌五輪の閉会式を翌日に控えた24日にロシアの処分解除について決定を下す計14人のIOC委員の一人となっている。投票では「一部もしくは完全」に解除するかの選択肢があるという。

 ロシアはメダル順位でトップを記録した2014年のソチ冬季五輪をピークに組織的なドーピングを行っていたことが調査で発覚し、昨年12月に同国の平昌五輪への選手団派遣を禁止された。しかし、クリーンな168選手は出場を許可され、23日にはフィギュアスケートの女子シングルで15歳のアリーナ・ザギトワ(Alina Zagitova)がOARに初の金メダルをもたらした。

 一部の資格停止処分とは必然的にどのような結果になるのか改めて質問すると、カスペル氏は「理屈の上でいえば、ロシアは資格を回復するが、同国五輪委員会(ROC)の会長は別だということになる」と話すと、「われわれは(ロシアの)若者に、彼らがクリーンであることを証明する機会を与えなければならない」とつけ加えた。

 一方、ロシアのボブスレー・スケルトン連盟(RBSF)は23日、ボブスレー女子に出場したOARのナデジダ・セルゲエワ(Nadezhda Sergeeva)が、世界反ドーピング機関(WADA)で禁止薬物に指定されている「心臓病の薬」に陽性反応を示したことを公表した。(c)AFP