【2月24日 CNS】中国の春節(旧正月、Lunar New Year)の最終日となった21日、李暁芳(仮名、女性)さんの運転する車が、徐々に実家のある浙江省(Zhejiang)寧波市(Ningbo)に近づいていた。李さんは春節期間中に「家出」をしていたが、とうとう家に帰ることにした。

「年越しの時期になると毎年、たくさんの親戚たちから結婚についていろいろ聞かれる。熱心なおばさんはお見合いの計画まで立ててしまう」。これまでに春節の間に起きたことを、せきを切ったように話し出す李さん。「独身でいることは罪でもないし、私は独身でも楽しい。一人の生活もいいものだもの」と話す。

「自分で働いて生活できているし、両親を養うこともできる。結婚のために自分の生活を縛られたくない」

 李さんは、今の社会は結婚を強制するのが当たり前のようになっていると考えている。「多くの人が一定の年齢になると結婚を急ぐが、私はそういう人間になりたくない」

 親戚や両親のしつこい催促から逃れるために、李さんは今年の春節は福建省(Fujian)へ旅行に行くことに決めた。友人二人にそのことを話すと、付いて来ると言い出したので一緒に旅に出た。李さんは、「一定の年齢」の若者の悩みはみんな同じなのだなと感じたという。

 李さんら3人は自分たちで車を運転し、浙江省温州市(Wenzhou)から福建省寧徳市(Ningde)、福州市(Fuzhou)などを巡った。

 中国式「春節のあいさつ」に悩まされる若者は、李さんに限らない。春節が終わった後の22日、勤め先に戻った王媛(仮名、女性)さんは、ほっとため息をついた。春節のあいさつ攻撃から身を隠すため、早くから予約していた飛行機に乗り、バンコクへ飛んだ。

「春節の年越し前には出発して、5日目に実家へ戻って両親と1日だけ過ごして、今日やっと出勤。やっぱり仕事をしている方がいい」と王さん。毎年訪れるお見合いばかりの春節に、すっかりくたびれてしまった。「両親の気持ちもわかるけど、春節はゆっくり過ごしたい」

 独身者は結婚しろと言われ、結婚したら子どもを作れと催促され、次には二人目はいつだとしつこく聞かれる……中国式「春節のあいさつ」に頭の痛い思いをする若者は多いが、春節の過ごし方も多様化してきており、旅行も新たな選択肢の一つとなってきている。(c)CNS/JCM/AFPBB News