【3月21日 AFP】祖国シリアを離れたとき、アミール・アワド(Amir al-Awad)さん(34)はエジプトを経由して地中海を越え、欧州を目指すつもりだった。だが、危険の多い航海よりも、エジプト第2の都市アレクサンドリア(Alexandria)のレストランで働くことを選んだ。そこで市内に住むシリア人たちのコミュニティーを知った。

 少年時代にはレスリング大会でチャンピオンになり、五輪メダル獲得を夢見たこともあるアワドさん。コミュニティーの仲間たちと力を合わせ、「シリア・スポーツ・アカデミー(Syrian Sports Academy)」を創設した。

 夢は、難民の若者たちからシリア代表のチャンピオンを輩出することへと変わった。

「いつか彼らがシリアへ戻ったとき、かつて私たちがそうしたみたいに、シリアの国旗を掲揚できるようにしたかった」とアワドさんは話した。

 アカデミーがあるのは、市内ハリド・ビン・ワリード(Khaled bin al-Waleed)地区の住居ビルの1階。わずか30平方メートルの広さで、設備は十分とはいえない。小さな事務所が併設されたがらんとした練習場に、放課後になると7~10歳の子どもたちがやって来て、レスリングや武道、エアロビクス、バレエ、体操などを習う。