【2月24日 東方新報】中国でアリババ(Alibaba)と並ぶEコマースの巨人「京東(JD.com)」。日本支社である「JD.com京東日本」の荒井伸二・日本業務最高責任者(CBO)は本紙の取材に対し、「日本人は慎重なので、市場の開拓に時間がかかるだろうが、日中間の越境Eコマースには将来性がある」などと述べ、中国市場で人気がある良質な日本製品と、日本より先進的と言われる中国のEコマースを組み合わせ、日中の消費者と企業の「ウィン・ウィンの実現」に力を注ぐ考えを示した。

■知名度アップが当面の急務

 東方新報:昨年8月に設立されたJD.com京東日本は、現在は主にどのような業務を行っているのか。設立以降、どのくらいの日本企業が新たに京東のサービスを利用したのか。

 荒井CBO:日本支社は設立後半年しか経っておらず、計画している業務のすべてがスタートしている訳ではない。現在は、宣伝と事業開発の二つが主な業務だ。

 京東に出店した日本企業は約10社。出店が飛躍的に増えていると言える段階ではない。京東には「出店」と「買い付け」の2つの手法があり、買い付けについては積極的に進めている。

■「日本版」開設にはまだ時間が必要

 東方新報:今後、アマゾン(Amazon)のようにEコマースサイトの日本版を開設し、日本人消費者向けに事業を始める可能性はあるのか。

 荒井CBO:現段階では、今すぐ日本のアマゾンのように成長するのは難しい。日本には楽天があり、その後、アマゾンも参入してきた。アマゾンの欧米テイストも日本人消費者の受けがいい。中国Eコマース企業は、日本人から見て「ちょっと遅れている」という印象があるが、そうしたイメージがなくなれば日本市場への参入は可能だ。システム面では問題はないが、物流網の構築など課題が残っている。

■日本の刺身が発送当日夜に中国の食卓に届く日も近い?

 東方新報:中国のEコマースの発展をどう評価しているか。日本にとってのチャンスは何か。

 荒井CBO:中国のEコマース市場は急成長しており、規模が非常に大きく、活力がある。米国と比べても遜色ない。恐らく、日本人には想像できないだろう。しかし問題は、日本での知名度が非常に低いことだ。

 中国の物流業界全体は、現在も進歩している。今後、物流面でも日中両国の垣根が無くなるだろうし、日本から中国に送った食材が翌日夜、もしかしたら当日夜には上海(Shanghai)の食卓に上がるかもしれない。こういう時代を、まさに迎えようとしている。通関の問題があるので当日配送は現実的にはまだ難しいが、この問題が解決されれば、完全に垣根はなくなるだろう。(c)東方新報/AFPBB News