【2月23日 AFP】米テキサス州のグレッグ・アボット(Greg Abbott)知事は22日、殺し屋を雇って家族の殺害を実行させ、死刑が確定していた男に対し、殺害の標的の1人だった父親からの助命嘆願を受け、当日に予定されていた刑の執行直前に停止を命令した。

 バート・ウィタカー(Bart Whitaker)死刑囚(38)は2003年、殺し屋を雇って母親と弟を殺害し、父親を負傷させた。一家を狙った犯行だと見せかけるため、ウィタカー死刑囚は意図的に自分の腕も撃たせていた。

 その後、長男は2004年にメキシコに逃亡し、2005年9月に逮捕。米国に強制送還され、2007年3月に死刑を宣告された。

 アボット知事は声明を発表し、ウィタカー死刑囚について「この凶悪犯罪の罰として、残りの人生を獄中で過ごす必要がある」と指摘。また、実行犯が死刑判決を受けていない事情も考慮したと説明した。

 さらに知事は「ウィタカー死刑囚の父親は刑の執行に強く反対している。テキサス州が残った最後の近親者を処刑すれば、自分は再び犠牲者となると主張している」と明らかにした。

 ウィタカー死刑囚はテキサス州の刑事司法当局が公開した声明で、「私のためではなく、父のためであるこの決定に感謝している」「私はどんな罰を受けてもおかしくなく、またこれからも受けることになるだろう」と述べた。

「私は自分の犯した罪によってあらゆる罰に値するが、父は何も悪いことをしていない。今日、刑事司法制度は父の味方をし、そして私は自分の責任を果たすために精一杯努力していく」

(c)AFP/Sébastien BLANC