【2月23日 AFP】世界の野生種のウマは、すでに絶滅していたとする研究結果が22日、発表された。ウマの祖先の最新DNA分析に基づく系統樹の書き換えにつながる予想外の結果だという。

 米科学誌サイエンス(Science)に掲載された論文によると、地球に現存する最後の野生種と大半の人々が考えていた「プルツワルスキー(Przewalski、 モウコノウマ)」は、実際には所有者の元から逃げ出した家畜馬の子孫なのだという。

 論文の共同執筆者で、米カンザス大学(University of Kansas)生物多様性研究所・自然史博物館考古学部門の学芸員のサンドラ・オルセン(Sandra Olsen)氏は「これは大きな驚きだった」と話すも、「結果は、生きている野生馬が地球上に存在しないことを意味している。これは悲しむべき部分だ」と付け加えた。

 研究は、カザフスタン北部の「ボタイ(Botai)」と「クラスヌイヤール(Krasnyi Yar)」の2か所で行われた考古学的調査に基づいている。科学者らはこれらの遺跡で、今から5000年以上さかのぼる最古のウマ家畜化の証拠を発見していた。

 このルーツをさらに掘り下げるために、国際研究チームは遺跡で発掘された歯と骨に基づき、ボタイ遺跡のウマ20頭と、ユーラシア(Eurasia)大陸全域のウマ22頭のゲノム(全遺伝情報)を解析した。

 次に研究チームは、今回解析した古代のウマのゲノムと、すでに公開されている古代馬18頭と現生馬28頭のゲノムデータとを比較した。

 その結果、プルツワルスキーは、約5500年前にカザフスタン北部ボタイの人々に飼われていた、知られている中で最古の家畜馬の子孫であることが明らかになった。

 これは、野生種と考えられていた馬が、実際には野生化した馬だったことを意味している。プルツワルスキーは家畜化から逃れた馬であり、当初から野生だったわけではなかったのだ。