【3月10日 AFP】重量挙げ女子のイラク代表選手は日々厳しい練習に励んでいる。メダルを持ち帰るため、そして家計を助けるために。

 首都バグダッドの保守的なイスラム教シーア派(Shiite)地区サドルシティー(Sadr City)にあるくたびれたジムで若い女性や少女たちが自分の体重より重いバーベルを持ちあげている。毎日3時間練習するという。

「重量挙げは女の子がするものじゃないと言う人たちには、男の人がすることはなんだって私たちにもできると言いたいです」。フダ・サリム・サエディ(Huda Salim al-Saedi)さん(20)は手についた白い粉をはたきながら言った。

 フダさんは、アッバス・アフメド(Abbas Ahmed)コーチが2011年に編成に着手したイラク初の女子重量挙げナショナルチームの一人。今ではチームの要になっており、最も将来を有望視されている選手だ。

 この日、フダさんは17歳になったばかりの妹、ハディールさんのトレーニングの補助をしていた。昨年は姉妹そろってトルクメニスタンで開催されたアジア選手権に出場。フダさんはスナッチ(バーベルを一気にあげる種目)で90キロをあげて銅メダルを獲得。ハディールさんはスナッチで68キロをあげて10位になった。

 ネパールの首都カトマンズで開催されたアジアジュニア選手権ではフダさんは総合優勝、 ハディールさんは総合4位だった。

 フダさんとハディールさんの活躍は親類たちを喜ばせたにとどまらず、一家に経済的安定をもたらした。

 女子重量挙げチームを後援している警察のクラブは8人の女子代表選手にそれぞれ毎月400~800ドル(約4万3000~約8万6000円)の給料を払っている。

「重量挙げのおかげでお給料がもらえて毎月の家族の生活費をまかなえています」とフダさんは言う。ハディールさんの給料も家計のやりくりに使っているという。(c)AFP/Khalil Jalil