【2月22日 AFP】米国のキリスト教福音派の伝道師で、歴代大統領の精神的助言者でもあったビリー・グラハム(BillyGraham)師が21日、南部ノースカロライナ(North Carolina)州モントリート(Montreat)の自宅で死去した。99歳だった。

 地域の教会の牧師から世界的に著名な伝道師となったグラハム師は長いキャリアを通じて、テレビや大規模な伝道集会で福音派の救済のメッセージを広め、多数の国民に影響を与えた。

 グラハム師は1918年11月7日、同州シャーロット(Charlotte)の酪農家に4人の子どもの一人として生まれた。1934年に宗教的に目覚め、フロリダ・バイブル・インスティテュート(Florida Bible Institute、現フロリダ・トリニティ・カレッジ、Trinity College of Florida)に入学。1939年にバプテスト教会の牧師に叙任された。

 1950年にミネソタ(Minnesota)州ミネアポリス(Minneapolis)で「ビリー・グラハム伝道協会(Billy Graham Evangelistic Association)」を創設。またラジオで毎週放送される伝道番組を開始した。さらに50年代にテレビが普及すると「テレビ伝道」の草分けとなった。

 その後、同師の伝道活動は米国内にとどまらず海外にも伝わるようになった。また、ドワイト・アイゼンハワー(DwightEisenhower)、ジョン・F・ケネディ(John F. Kennedy)といった歴代大統領が同師に助言を求めた。リチャード・ニクソン(Richard Nixon)元大統領とは、専属牧師となってゴルフにも付き添うほど親密だった。

 1991年の湾岸戦争(Gulf War)開始時には、ジョージ・H・W・ブッシュ(George H.W. Bush)元米大統領が助言と祈りのためにグラハム氏をホワイトハウス(White House)に招いた。南部バプテスト派の牧師のグラハム師はブッシュ一家と近い関係を保ち、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)元大統領は1985年にグラハム師と私的に話したことをきっかけに飲酒をやめることが出来たという。

■歴代大統領が追悼メッセージ

 グラハム師の死にあたりドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は声明で「米国を変え、世界を変えた」と述べ、「過去100年の歴史における最も偉大な人物の一人であり、『神の大使』と呼ばれるにふさわしい指導力で人生を歩んだアメリカのヒーローだった」と表現した。

 またバラク・オバマ(Barack Obama)前大統領はグラハム師を「多くの人々のために祈りを捧げた謙虚な神のしもべであり、その知恵と寛大さで何世代もの米国民に希望と導きを与えてくれた」とたたえた。

 ジョージ・H・W・ブッシュ元大統領は「グラハム師はアメリカの牧師だった」と述べた。(c)AFP/James HIDER