【2月21日 AFPBB News】家庭で飾られなくなった「ひな人形」を全国から集めて、高さ7メートルの巨大ひな壇に──。約380年の歴史を持つひな人形の生産地、埼玉県鴻巣市内の各地で3月11日まで、「鴻巣びっくりひな祭り2018」が開催されている。中でも、31段に1831体のひな人形を飾った「ピラミッドひな壇」は日本一の高さを誇る。訪れた人はひな壇を前に感嘆の声をあげ、写真を撮ったり、人形の顔を眺めたりしていた。

 イベントは今年14回目を迎え、ひな人形は市全体で1万体を超えた。一風変わった「ピラミッド」型は、多くの人に四方から見てもらうため考案した。当初は26段だったが年々規模が拡大。ピラミッドひな壇には、その年に寄贈された人形を、市内の公共施設や学校などの別会場には過去に寄贈された人形を飾る。

 ピラミッドひな壇は、開催前日に、職人やボランティア含む約80人が1日がかりで作り上げた。「皆に見てもらい、いい顔をしている。人形それぞれに家庭の思い出や物語があり、胸がいっぱい。大切に飾っている」と、第1回から携わる実行委員会の渡辺明美(Akemi Watanabe)さん(57)は話す。今年は実行委員のメンバーが自分たちで竹を切り出して、制作した竹雛(たけびな)なども飾られる。

 生後3か月になる娘を連れて訪れた埼玉県在住の小川真衣(Mai Ogawa)さん(22)は「『びっくりひな祭り』だけに、びっくり。上から見たら圧巻だった」と話す。自宅でも、ひな壇を娘のために飾り付けた。「私にとって初めてのひな人形で、この子が2代目。初節句なのでちゃんとお祝いしてあげたい」と笑顔を見せた。

 実行委員会の渡辺さんは「ひな人形の歴史は古い。歴史や文化をこれから育っていく子どもたちにも伝えていきたい」と思いを語った。(c)AFPBB News