【2月21日 AFP】フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領が自らに批判的なニュースサイトに大統領府の取材を禁止しようとしている動きについて21日、人権団体や報道機関が「報道の自由」を脅かすものだとして非難した。

 2012年開設のニュースサイト「ラップラー(Rappler)」は、政府発表で4000人近い容疑者を殺害したとするドゥテルテ大統領の看板政策、「麻薬撲滅戦争」を批判的に報道し、ドゥテルテ氏と論戦を繰り広げてきた同国の報道機関の一つ。大統領報道官によると、ドゥテルテ氏は「信頼の欠如」を理由としてラップラーの記者の大統領取材を禁じることを決定した。

「麻薬撲滅戦争」について人権団体らは、「闇の自警団」によって政府発表よりもさらに数千人多くが殺害されていると非難している。

 米国を拠点とする国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch)は、ラップラーに対する大統領府取材禁止について「報道の自由を脅かすもの」だと非難。声明で「こうした措置は記者や報道機関に対する広範な攻撃の前兆となる可能性がある。報道関係者の批判的な監視によって、フィリピン政府の劣悪な人権記録が強調されてきたのだ」と述べた。

 ラップラーは規制当局から先月、外国資本によるフィリピンメディアの所有を禁じている憲法に違反しているとの疑いをかけられ、国による強制閉鎖の危機にも直面している。(c)AFP