【2月21日 AFP】スペインの裁判所は20日、息子をスーツケースに入れて同国に密入国させようとしたとして訴追されたコートジボワール人の父親に対し、92ユーロ(約1万2000円)の罰金のみを科し、釈放するとの判断を下した。

 検察は当初、父親が息子を欧州へ密入国させようとし、息子の命を危険にさらしたとして禁錮3年を求刑していた。フェルナンド・テソン(Fernando Teson)判事は「子どもの命が危険にさらされた。彼(子ども)は空気穴もない小さなスーツケースの中に、ひどい状態で縮こまっていた」と指摘した。

 少年の悲痛な画像は、欧州が第2次世界大戦(World War II)以降最悪の移民問題に直面していた2015年、世界中に拡散した。

 裁判はモロッコにあるスペイン海外領土のセウタ(Ceuta)で行われた。セウタではアフリカからの移民が日常的に国境のフェンスを越えたり車で密入国したりすることが日常的に行われている。

 裁判が終わりに近づくにつれ、息子がスーツケースに入って密入国させられようとしたことについて、父親が知っていたとする証拠がないとして、検察側は裁判所に禁錮刑ではなく罰金を科すよう求めた。すでに1か月間拘束されていた父親に対し、裁判所は罰金の支払いを命じた。(c)AFP/Laurence BOUTREUX