【2月19日 AFP】中米エルサルバドルで、流産したことが殺人の罪に当たるとして30年の実刑判決を受け、既に11年間服役していた女性が15日、最高裁判所の命令で釈放された。女性の弁護士が明らかにした。

 首都サンサルバドルにある女性矯正施設から白いTシャツ姿で出所したテオドラ・バスケス(Teodora Vasquez)さん(34)は、裁判を一緒に闘った家族や支援団体のメンバーらから大きな歓迎を受けた。その輪の中には、バスケスさんの両親と14歳になる息子も居た。

 服役中に高校卒業証明やその他の資格も取得したというバスケスさんは、「うれしい。人生の多くの年月を失ってしまったが、新しい人生を始めることができて幸せ」と喜んだ。

 大学に進学したいという希望もあるが、目下の目標は「私のように不当に有罪とされている他の女性たちのために動き、闘うこと」だと、涙ながらに語った。

 エルサルバドルでは、中絶が厳格に禁止されている。2007年に妊娠9か月で死産したバスケスさんは、流産を誘発しようとしたとして起訴され、翌2008年に加重殺人罪で30年の実刑判決を受けた。昨年12月に控訴審が行われ、複数の人権団体が刑の不当性を訴えていたにもかかわらず、原判決は覆らなかった。

 バスケスさんの弁護士によると、最高裁と司法省が減刑を決定し釈放されたという。ただ最高裁は、詳細を公表していない。(c)AFP