【2月16日 AFP】キューバに駐在した米外交官らが奇怪な音響攻撃の被害を受けたと主張している問題について、21人は明白な頭部外傷なしに「脳内ネットワークに広範な損傷」を受けていたとする調査結果が15日、明らかになった。

 同調査は、米ペンシルベニア大学(University of Pennsylvania)ペレルマン医学大学院(Perelman School of Medicine)の研究者らが、2016年と2017年のハバナ勤務後に脳震とうに似た症状を訴えていた米政府職員21人について行なったもの。

 米医学誌「JAMAインターナル・メディシン(JAMA Internal Medicine)」に発表された調査論文によると、報告されている症状は、めまい、頭痛、耳痛、聴覚問題、読字力と集中力の低下、光に対する過敏症、不眠などだ。

 報告者の多くが3か月以上この影響に苦められており、その症状は極めて激しく、働くことができないほどだった。

 21人のうちの18人が「自宅やホテルの部屋内で、聴いたこともない、局所的な音が発症時に聞こえた」と報告している。その音は「指向性があり、極度に大きく、単音で持続的な音調」と説明されており、患者の大半はその音を高音だったとしているが、2人だけは低音だったとしている。

 一部の職員は就任地が変わった後は「その感覚は消え、それに関連した症状も和らいだ」という。5人は、頭や耳を覆っても役に立たなかったと語った。

 磁気共鳴画像装置(MRI)による検査も実施されたが、得られたのは正常という結果だった。

 JAMAの付随論説は「米政府要人が経験した症状についての理由は依然として捉えどころがなく、音響現象にさらされた可能性による影響は不明確だ」としている。

 JAMAの論説は、明らかな頭部損傷の原因を断定するには、さらなる研究が必要だとしている。

 一連の病状の訴えを受け、米政府は昨年9月末にキューバ駐在の外交スタッフの半数以上を引き上げ、首都ワシントンからはキューバ外交官15人を追放した。

 キューバは、米国側の主張は「全くの虚偽」であり、「政治的操作」を試みるものと称している。キューバ側の善意を示すものとして、同国は今年に入って3回、米連邦捜査局(FBI)捜査官の調査のためのキューバ訪問を受け入れていると主張している。(c)AFP