【2月16日 AFP】平昌冬季五輪の開会式でトンガの旗手を上半身裸で務めたピタ・タウファトファ(Pita Taufatofua)が16日、クロスカントリースキーで冬季五輪デビューを果たす。しかし、その目標はごく控えめと言ってかまわない。

「まずは照明が消える前にゴールすることが一つ目。木に突っ込まないことが二つ目さ」

 現在34歳のタウファトファは、2016年に行われたリオデジャネイロ五輪の開会式で彫刻のような上半身にオイルを塗り、腰にタオバラ(ta'ovala)と呼ばれる同国の伝統的な織物を巻いただけの姿でSNS上の話題を集めた。そして、今月9日に行われた平昌五輪の開会式では、気温が氷点下に達するなかで同じ姿を披露し、トンガ国旗をやりのように突き立てて再びネット上を席巻した。

 リオ五輪ではテコンドー競技に出場して1回戦で敗退したタウファトファは、今大会ではクロスカントリーに転向したものの、雪上で体力勝負の同競技に臨んだのはわずか12週間しかないという。

 ビーチバム(できる限り海岸で時間を過ごす人)を自称するタウファトファは、オーストラリアのブリスベン出身ながらもトンガ人の血筋であることを誇りにしている。平昌五輪にはふざけて出場するつもりはなく、スキー板をなくすような大きな不運に見舞われず、最低でも完走することが目標だと話した。

「人生で雪の上にいたのは12週間だから、フィニッシュまで1週間かかるとなれば合計で13週近くになる。そうでないことを祈るが、きっと面白い話題になるだろうね!」

 新たな五輪スポーツに挑戦しているとき以外は、子どもたちを支援するソーシャルワーカーを務めているタウファトファは、平昌に詰めかけた報道陣に対し、「実のところ、雪の上で過ごした時間はほんのわずかで、金曜日(16日)はメダルを取れないだろう」と語った。

「だけど、4年後にはトンガからの選手が取るかもしれない。8年後には太平洋の国からの選手が取るかもしれない。それよりももっと大切なのは、太平洋の国の人々や子どもたちにこれを見てもらい、存在を知らなかった何かに彼らが手を伸ばしていくことだ。自分がここにいるのはそれが理由なんだ」

 一方、トレーナーを務めるトーマス・ジェイコブ(Thomas Jacob)氏は、最も過酷な種目でのタウファトファのチャンスに対しては熱意を示しておらず、「彼は常に完走したいと話している。可能性はあるが、とても厳しいコースだ。最後かもしれないし、そうでないかもしれない」と話した。(c)AFP/Peter STEBBINGS