【2月16日 AFP】米英両政府は15日、2017年に猛威を振るったランサムウエア(身代金要求型ウイルス)「NotPetya」によるサイバー攻撃にロシア軍が関与していたと非難する声明を発表した。

 両国は、ヨーロッパ、アジア、南北アメリカ大陸の多国籍企業や重要インフラなどに被害を与えた「NotPetya」の攻撃元であるロシアは「国際的に重大な責任を負うことになる」と警告した。

 ホワイトハウス(White House)は簡潔な声明の中で、「2017年6月、ロシア軍はこれまでで最も破壊力があり被害総額も大きかったランサムウエア攻撃を実施し、数十億ドル(数千億円)の損害を与えた」と述べ、「『NotPetya』はウクライナの不安定化を狙ってロシア政府が現在も実施中の活動の一つだった」と断言した。

 英外務省はホワイトハウスより数時間早く声明を発表。主な攻撃対象はウクライナの金融、エネルギー、政府部門だったが欧州とロシアの企業も影響を受けたと指摘し、英国とその同盟国は「悪意あるサイバー活動」を容認しないことを示すためロシアの関与の公表に踏み切ったと明らかにした。

 英国のギャビン・ウィリアムソン(Gavin Williamson)国防相は「従来の軍事力に悪意のあるサイバー攻撃が加わって致命的な破壊力を持つ……戦争の新たな時代」に入っていることが改めて示されたと述べ、ロシアは「民主主義を弱体化させることによって社会の規範を完膚なきまでに破壊し、重要インフラを攻撃することよって生活を破壊し、情報を武器にしようとしている」と非難した。

 これに対し、ロシアのドミトリー・ぺスコフ(Dmitry Peskov)大統領報道官は報道陣に対し、「そのような非難にはまったく根拠がないと考えており、明確に否定する」「何の証拠もない反ロシア運動が続いているにすぎない」と述べた。(c)AFP