【2月14日 AFP】中世の香り漂うスロバキアの小さな町では、カップルたちがバレンタインデーの到来を待ち構えている。愛の物語のためにささげられた場所に、2人のロマンスを「預金」するのだ。

 スロバキアの詩人アンドレイ・スラドコビッチ(Andrej Sladkovic)がマリーナ・ピシュロワ(Maria Pischlova)との実らぬ愛をつづった世界一長い愛の詩「マリーナ(Marina)」。1844年に書かれたもので、2900行にもおよぶ。

 かつて銀鉱で栄えた町バンスカーシュチャブニツァ(Banska Stiavnica)のマリーナが暮らしていた家は今、「愛の震源地(Epicentre of Love)」として知られ、スラドコビッチの詩に着想を得た展示が行われている。

 展示の目玉は「愛の銀行(Love Bank)」で、これを目当てに訪れるカップルも多い。

 家の地下にある長いトンネルは、10万個の小さな引き出しのついたアーチ形の空間につくり変えられ、引き出しの一つ一つに詩の原文の文字やスペース、句読点などがあてがわれている。

 恋人たちはその引き出しに恋愛の記念品を保管することができるが、その機会は年に数回しかなく、バレンタインデーがその一つだ。

 展示を企画したNGOの広報担当者、カタリーナ・ヤボルスカ(Katarina Javorska)さんは、「大胆で野心的な企画だという人もいる。けれど、ロミオとジュリエットという架空のカップルのバルコニーを見るために何百万人もの人がベローナ(Verona)へ行きたがるのだから、真の愛の物語を追体験するために、この愛の震源地を多くの人が訪れると信じている」と話した。(c)AFP/Laszlo JUHASZ