【2月18日 AFP】フランスはここ数十年、毎年11月になると、「ボージョレ・ヌーボー(Beaujolais Nouveau)」を日本に数百万本輸出してきた。日本ではその到着を祝い、このフルーティーな赤ワインの新酒で満たされた浴槽に漬かる人もいるほどだ。しかし日本の酒造会社は今、日本酒の新酒をフランスに輸出することでそうした流れを変えたいと意気込んでいる。

 ワイン鑑定士は、まだ青いバナナの香りがするボージョレを鼻であしらう傾向があるが、フランスに届けられる日本酒の新酒は、知る人ぞ知る日本の伝統の一つだと、日本酒の輸出推進派は主張する。

 日本酒に大きな関心を寄せているフランスの有名シェフ十数人は今月、新酒を自身のメニューに取り入れ、料理とともに提供し、調味料としても使用している。

 パリのレストラン「メゾン・デュ・サケ(Maison du Sake)」のオーナー、ユーリン・リー(Youlin Ly)氏はAFPの取材に対し、「搾りたての日本酒は低温殺菌されていないため、瓶詰めされた後は6週間程度しか持ちません。でも標準的な日本酒よりもはるかにコクがあり、味わい、香りも豊かなのです」と語る。

 リーさんは、「日本酒の仕込みが冬に行われるのは、発酵を調整するため低温を維持する必要があるから。そうして造られる最初の酒は1~2月に熟成します」と続けた。

 レストラン格付け本「ミシュランガイド(Michelin Guide)」で星を獲得している、フュージョン料理で有名なウィリアム・ルドゥイユ(William Ledeuil)シェフは、牛肉とフォアグラを使った一品にも新酒を使用し、シトロン(レモンに似た果実)とユズ、レモングラスで香り付けしたブイヨンにも加えている。

 パリでレストランを経営している同氏は、「スープを入れた鍋にほんの少し垂らしたりもします。昔の農民たちがワインを使ってやっていたように」と説明した。