【2月12日 AFP】米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)は11日、米政府が国際宇宙ステーション(ISS)の予算を2025年までに打ち切り、民営化することを検討していると報じた。

 同紙が入手した米航空宇宙局(NASA)の内部資料は、「連邦政府によるISSへの直接的な支援が2025年に打ち切られても、軌道から離脱されるわけではない」と指摘。民間企業が将来、商業目的でISSの装置や機能の一部を引き継いで運営することは可能だと述べている。

 民営化を円滑に進めるため、米政府は民間企業に市場分析と開発計画を提出させるだろうと、ワシントン・ポスト紙は伝えている。

 ただ、民営化には激しい反発が予想される。米政府はISSの打ち上げ、運営、維持にこれまで1000億ドル(約10兆9000億円)近くをつぎ込んでいる。

 さらに、ISSの最初の装置が打ち上げられたのは1998年で運用開始から年数が経過しており、民間企業が引き継いでも利益をあげるのかは分からない。

 NASAはジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)政権時代から一部のISS支援業務について民間企業への委託を行い、米宇宙開発企業スペースX(SpaceX)や米航空宇宙防衛企業「オービタルATK(Orbital ATK)」がISSに物資を補給するロケットを打ち上げている。バラク・オバマ(Barack Obama)前政権ではこうしたケースが増えていた。

 ISSはNASAが主導し、ロシアと共同開発した。カナダや欧州、日本など世界各国の宇宙開発機関が協力し、低軌道の環境で科学研究を行っている。(c)AFP