【2月11日 AFP】平昌冬季五輪の開会式に半裸で登場したトンガの旗手、ピタ・タウファトファ(Pita Taufatofua)。彼の寒さ対策の秘訣(ひけつ)は、体を温かく保つココナツオイルだった。

 9日の開会式でタウファトファは、体感温度が氷点下10度ともいわれる中、果敢にも上半身裸で入場した。見ていた多くの人は、伝統の巻きスカートとサンダルだけで出てきて凍傷にならないのかと思っただろう。しかし、答えは胴体に塗りたくった油にあった。

 ココナツオイルは、トンガでは昔からかぜ対策によく使われているようだ。タウファトファは、2016年のリオデジャネイロ五輪でも油をたっぷり塗った上半身裸の格好で登場し、ネットを騒然とさせた。そして今回、再び世界に衝撃を与えた。氷点下の開会式出席を控える選手がいたり、米国代表が電熱ジャケットで万全の防寒を施したりする中、タウファトファに必要なのはココナツオイルだけだった。

 在シドニー・トンガ名誉領事で、平昌ではトンガ代表のサポートをしているルイーズ・ウォーターハウス(Louise Waterhouse)さんは、トンガのニュースサイトで次のように語っている。

「ピタはポケットにココナツオイルの小瓶を隠し持っていました。そして行進の少し前、ピタの様子を見ていた関係者が、親切にも小さな部屋を貸すなどしてくれて、直前まで温かくしていられるよう配慮してくださったんです」

「実は名誉監督が上着をかばんの中にしまっておいて、観客席ではすぐに着られるようにしてあったんです。しかし、選手村で会ったピタはこう言いました。『歩いている間は寒くありませんでしたよ。ココナツオイルが温かくしてくれた。寒くなったのは座ったあとです』と」

「今もすこぶる元気ですよ。もともと丈夫なタイプで、またしても大きなことをやり遂げてくれました。本人もトンガを代表してああいったことができて、非常に誇らしく思っています。今回も、世界に対してトンガの存在感を示してくれました」

 タウファトファはリオ五輪ではテコンドーに出場。その後クロスカントリースキーに転向し、酷暑のオーストラリアでトレーニングを積んで、見事に平昌の出場権を獲得した。(c)AFP