【2月10日 AFP】米フロリダ州マイアミの保健当局はデング熱などの感染症を媒介する蚊を減らすため細菌で不妊化したネッタイシマカを大量に放つ試みを進めている。8日、報道陣向けの実演説明会が行われた。

 同地では外来種であるネッタイシマカは、デング熱やジカ熱、チクングニア熱などを媒介する。2016年、ジカ熱の拡大を受けて世界保健機関(WHO)は「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言し、同年11月に解除していた。

 フロリダ州当局は、殺虫剤の空中・地上散布を実施してきたが、住民から健康被害や効果のなさを指摘する声が上がっていたため、州は、保健局が推進するネッタイシマカの不妊化プロジェクトに410万ドル(約4億5000万円)の予算を承認した。

 放虫されるネッタイシマカは遺伝子操作されているわけではなく、同種の蚊の雄だけを不妊化する共生細菌「ボルバキア」に感染させてある。

 開発した米企業モスキートメート(MosquitoMate)の担当者、パトリック・ケリー(Patrick Kelly)氏は、「生物学的な方法で、環境にも非常に優しく、他の昆虫や人体、ペットへの影響はない」と説明。AFPに対して、ネッタイシマカは外来種であるため、根絶されたとしてもフロリダの生態系を乱すことはないと述べた。

 ブラジル・リオデジャネイロでも昨年8月、同じ細菌に感染させたネッタイシマカを大量に放す試みが行われた。(c)AFP