【2月10日 AFP】米国防総省は9日、イラク軍に売却した米製の主力戦車「M1エイブラムス(M1 Abrams)」がイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」との戦闘で親イランの民兵組織によって使用されていたと発表した。

 米国防総省のエリック・ペイホン(Eric Pahon)報道官によると、米国は過去10年間にわたってエイブラムス戦車をイラクに売却してきたが、イスラム教シーア派(Shiite)の隊員で構成され、法律によってイラク治安部隊(ISF)の一部とされている民兵組織「人民動員隊(Hashed al-Shaabi)」には防衛物資を提供してこなかったという。

 ペイホン報道官は「これらの戦車はすべて、最近イラク治安部隊に返却された」と述べた。イラク議会は人民動員隊を憲法の枠組み内で活動する国軍とみなしている。

 人民動員隊は2014年、武器を取ってISと戦えというシーア派への宗教的な呼びかけを受けて結成された民兵組織で、イラン政府と密接なつながりを持っており、シリアでISとの戦闘に積極的に参加してきた。さまざまな部隊からなる混成部隊で兵力は6万~14万人。米政府は人民動員隊に対するイランの影響力を懸念している。

 ペイホン報道官はまた、製造元ゼネラルダイナミクス(General Dynamics)がイラクでのエイブラムス戦車のメンテナンス契約を解除したとの報道を否定した。(c) AFP