【2月10日 AFP】フランス捜査当局は9日、配管工を装った2人組の強盗が現金輸送車運転手の娘を誘拐し、身代金として輸送車が運んでいた現金を奪う事件があったと明らかにした。被害額は3000万スイス・フラン(約35億円)に上るとの情報もある。

 ハリウッドのアクション映画のような強奪事件は8日夕から夜にかけて、フランス南東部のスイス国境に近い地域で発生した。

 捜査筋がAFPに語ったところによると、犯人らはまず、配管工を装ってリヨン(Lyon)のアパートから現金輸送車運転手の娘(22)を誘拐。この女性による捜査当局への証言によれば、犯人は女性を車に押し込んで縛り、父親あてに身代金要求の電話をかけさせた。

 女性の父親は、装甲車を使用して企業や銀行の間の現金輸送業務を行うスイス企業SOSサベイランス( SOS Surveillance)の従業員で、スイス国境に近いフランスの都市アヌマッス(Annemasse)在住。

 警察によると、父親は電話を受けた際、同僚と共に輸送業務の最中だった。捜査関係者は、父親は国境のスイス側にある駐車場で犯人らに会い、輸送中の現金を娘の身代金として渡すことに同意したとしている。

 誘拐された女性は8日午後10時(日本時間9日午前6時)頃、リヨン郊外の路上で無事発見された。

 フランス警察筋はAFPに対し、輸送車は「2000万〜3000万スイス・フラン(約23億〜35億円)」を運んでいたと述べたが、スイス西部ボー(Vaud)州の警察は金額の確認を避けた。

 現在、フランス警察主導で事件の捜査が行われているが、容疑者は逮捕されていない。一方、スイス警察は事件の目撃者に情報提供を呼び掛けている。(c) AFP/By Nicole DESHAYES with Agnes PEDERO in Geneva