【2月11日 東方新報】「開けてびっくり、入って悲鳴、中ではつま先歩き」──。ひと昔前の中国には、設備も管理も行き届いていないトイレで溢れていた。さらに地方に行くと、個室はなく、男女すら分かれておらず、同じ空間で「男は左側で、女は右側で」という程度のトイレもあったという。

 しかし、北京市(Beijing)の恭王府(Prince Kung's Mansion)を訪れたあるドイツ人観光客がドアを開けて目にしたのは、中国古代の美女が描かれた絵画だった。臭くないどころか、香までたかれていた。この観光客は、「表に『トイレ』と書かれていなかったら、どこかの美術館にでも迷い込んだのかと思ってしまうところだった」と驚いていた。

 観光地の「厠所(トイレ)革命」は、ただ改装すればいいというわけではない。実用性と同時に地方文化を取り入れたものでなくてはならない。

■シルクロード沿線観光業の発展に助力

 この1年の間で、シルクロードの4分の1に当たる甘粛省(Gansu)の観光名所のトイレにも革命が起こった。地域性、観光客数、文化、気候などに合わせ、トイレの形式もチベット式、花屋風、スマートエコトイレなどが続々と建てられ、見た目も質も向上しているという。

 甘粛省は過去3年で7億4000万元(約129億2669万円)を投じ、新設、改築するなどして2738か所の観光地のトイレを完成させた。

 観光トイレは実用性を保証した上で、周囲の環境に溶け込むように、各地の特色をテーマに設計されている。2015年に「中国観光トイレ革命先鋒TOP10」に選ばれた甘粛省金昌市(Jinchang)には、チベットを象徴する動物ヤクや、きのこなどをモチーフにした観光トイレが作られるなど、観光地に彩を添えている。同省蘭州市(Lanzhou)や敦煌市(Dunhuang)には、無料Wi-FiやATM付きの便利なトイレもできた。

 観光地の「トイレ革命」は、国家旅游局が当初の目標としていた、17年までに5万6000か所のトイレの新設、改装を大きく上回り、6万8000か所(17年10月時点)の工事が完了した。

 さらに、同局が最近発表した『観光トイレ建設管理新3か年行動計画(2018~20)』によると、この3年間で「4万7000か所の観光トイレを新設、1万7000か所を改築し、観光トイレの管理、科学技術の活用とマナーの向上を目指す」としている。(c)東方新報/AFPBB News