【2月11日 東方新報】トイレは、「文明」を映す鏡だ。トイレ問題を解決することは、観光インフラや居住環境の改善だけでなく、国民のマナー向上や社会文明の進歩につながると指摘する専門家もいる。

 中国の「厠所(トイレ)革命」は、1990年に北京市(Beijing)で行われたアジア競技大会(11th Asian GamesAsiad)を追い風に、北京から始まった。その後、国内に広がっていった。

 市民はきれいになったトイレ環境をきれいなまま維持しようと意識するようになり、それがいい習慣として広まっている。また、新しいトイレは使う人に優しい設計になっており、ベビースペースや親子トイレなど、先進国に倣い施設を充実させている。

「革命」には、さらに大きな可能性が秘められている。政府と民間が提携して民間企業に管理を任せるなど、「トイレの社会化、市場化」の管理モデルを模索している。こうしたモデルは、「以商建厠、以商管厠、以商養厠(商業によってトイレを建設、管理、経営)」と呼ばれ、中国の一部の地域では成熟しつつある。

 さらに注目されているのは、トイレの創意工夫や総合機能だ。携帯電話の充電、無料Wi-Fiといった設備を備えた、休憩ができる「第5の空間」と呼ばれるトイレが各地で増えている。家庭や職場などと共に、5番目の居場所という意味だ。

 今後、模索すべき方向は、トイレで発生するメタンをエネルギー資源として再利用する設備など、新しい技術を合理的に応用することだろう。

■農村部のトイレは国家的課題

「厠所(トイレ)革命」はまた、農村地区でいかに整備を進めるかという難問を解決する糸口の一つとされている。

 2012年に開かれた党大会以来、習近平(Xi Jinping)国家主席は、「農業の近代化の加速に伴い、新しい農村の建設を推し進める必要がある。『トイレ革命』を進め、農村の人々に衛生的なトイレを提供しなければならない」と何度も強調してきた。昨年開かれた党大会でも「トイレ革命」の全国展開を要求している。(c)東方新報/AFPBB News