こうした世論に応えるため、1985年に大学教授を会長に、都市管理、建築、美術などのさまざまな分野の専門家らが会員となり「日本トイレ協会(Japan Toilet Association)」が誕生した。厚生省(いずれも当時)など中央省庁や東京都の支持を得た。

 語呂合わせで、毎年11月10日を「いいトイレの日」と定めた。1987年当時のある報道によると、最初の「いいトイレの日」に東京都江戸川区で「トイレ文化フォーラム」が開催され、600人以上が参加したという。当時の江戸川区長は、「公衆トイレは『便所』という呼び名を廃止し、『手洗所』に統一する」と発表した。

 日本の専門家は、日本の「厠所(トイレ)革命」が、日本社会に大きな変化を二つもたらしたと分析する。公衆トイレの質の向上と、利用者の道徳観念の向上だ。

■「清潔な文化」

 日本の伝統的な教育の一つに、子どもに掃除をさせることがある。自分たちが使う教室の床や窓、階段やトイレなど、すべて子どもたちが掃除する。幼い頃からこういった習慣を身に付けることで、日本人の清潔に対する意識が高くなったのだろう。

 日本のトイレの次なる課題のひとつは、地震など自然災害が頻発する国土で、非常時にも住民が快適に使えるトイレだ。災害時の避難所などでは、利用者に対して供給が間に合わず不衛生な状態になり、トイレに行くのを我慢して体調を崩す人が高齢者などに相次ぐ。

 限られた資源しか使えない非常時にどうするか。日本の「革命」に、新たな挑戦が立ちはだかっている。(c)東方新報/AFPBB News