【2月10日 東方新報】トイレは「文明」を測る一つの指標だ。利用している人々の健康状態、ひいてはその国のイメージやソフト・パワーをうかがうことができる。

 中国のトイレの問題点は大きく分けて二つあった。一つは、数が少ないこと。以前は政府が重要視しておらず資金投入が極めて少なかったことなどが原因だ。公衆トイレにはいつも長蛇の列ができていた。場所によっては使用料を取るトイレもあり、便利とは言い難かったため、裏通りや人通りの少ない道などで用を足す人も少なくなかった。

 二つ目は、トイレの施設の立ち遅れだ。昔は簡素なものが多く、簡単な板で仕切られているか、仕切りすらもない場合もあった。便器はなく、くぼみにまたがって用を足すという具合だった。

■昔のトイレは、「泣、笑、叫、跳」

 かつて臭くて有名だった中国のトイレで用を足すことは、毎回が一種の挑戦だった。

 当時中国に来た外国人は、中国のトイレを「泣、笑、叫、跳」の4文字で表現していた。「泣」は涙が出るほどの悪臭。「笑」は互いに見える状態で一緒にくぼみにまたがるおかしさ。「叫」は驚き。「跳」は足元の「不浄な物」を避ける、武芸のような動きを表したものだ。

「厠所(トイレ)革命」が始まると、政府は大都市から農村に至るまで、大量のトイレを建設した。また「親子トイレ」を建設したり、管理人を配置したりした。さらに美しさを求め、デザインに中国の山水風景や中華文化を取り入れたものもある。

「革命」を機に、水処理に関する技術や太陽光エネルギーの活用などの研究開発にも力を入れ始めた。こうした技術をITと融合させることで、資源の節約につながり、使用する人だけでなく地球にも優しいトイレの普及が加速している。

 かつて、中国を訪れた外国人が経験したような苦い思い出は、すでに「歴史」、つまり過去のものになった。トイレを一新したことで、中国は新たなイメージを手に入れたのだ。(c)東方新報/AFPBB News