【2月8日 AFP】オレンジ、グレープフルーツ、レモン、ライムなどはすべて、かんきつ類の「野生種」10種の組み合わせからなる交雑種であるとする研究論文が7日、発表された。この10種は約800万年前にアジアの単一の共通祖先から分岐したという。

 米エネルギー省共同ゲノム研究所(Joint Genome Institute)などの国際研究チームは今回、世界的に好まれているこの果物類のルーツにさかのぼる系統樹を作成するために、かんきつ類60種のゲノム(全遺伝情報)を解析した。

 論文の共同執筆者で、共同ゲノム研究所のグオホン・ウー(Guohong Wu)氏はAFPの取材に、全かんきつ類の根源をたどると、後期中新世のヒマラヤ(Himalaya)山脈南東部の丘陵地帯に行き着いたことを明らかにした。

 この祖先種は現代の「パペダ類」に似ていた可能性が高いという。パペダ類の果実は苦味と酸味が強く食用に適さない。

 この共通祖先から、ブンタン、マンダリン、キンカンの一種などを含む「野生種」が10種派生した。10種の一部はすでに絶滅している。

 ウー氏は、「経済的に重要な(オレンジ、グレープフルーツ、レモン、ライムなどの)品種を含む他のすべてのミカン属は、この10の純粋種の2種以上に由来する交雑種だ」と、取材に応じた電子メールで説明した。

 研究では、かんきつ類植物が夏季モンスーンの弱化傾向をもたらした古代の気候変化の時代にアジア南東部全域に分布を急速に拡大したことも分かった。

 ミカン属の祖先の多様化の起源、分散、時期などをめぐっては、科学者らの間で意見の分かれる問題と長年考えられてきたが、遺伝子分析を通じて初めて全体像が判明したとウー氏は指摘し、「今回のゲノム比較解析の手法は、ミカン属の分類学における100年に及ぶ混迷した状態に対して明確な答えを提供している」と述べた。

 また、「ミカン属の果実の多様性と関係性を理解することは、消費者に好まれ、病気に強いかんきつ類の品種改良に向けた第一歩となる」として、研究の意義にも触れた。(c)AFP