■新たなサリン攻撃

 2017年4月、反体制派が拠点とするイドリブ県の都市ハンシャイフン(Khan Sheikhun)に対する空爆で化学兵器が使用された。国連および在英NGOのシリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)によると、この攻撃で80人以上が殺害された。

 使われたのはサリンガスだったと後にOPCWが発表したが、使用した勢力については言及されなかった。一方、国連の調査団はシリア政府軍による使用を示す証拠があると明言したが、ロシアはこの主張を受け入れなかった。

 欧米諸国は同年11月、ハンシャイフンでの化学兵器使用が疑われる攻撃では「シリア政府の関与を示す特徴がある」と主張。この攻撃の背後にいる勢力を特定するために国連が主導した調査について、ロシアは国連安保理で行われた調査期間延長のための決議で2回にわたって拒否権を発動した。

■再びシリア政府軍が使用か

 2018年1月22日、反体制派勢力が包囲されているダマスカス近郊の東グータ(Eastern Ghouta)地区ドゥマ(Douma)で化学兵器の使用が疑われる攻撃があり、子どもを含む少なくとも21人が呼吸困難に陥った。これに先立ち1月13日にも同じくドゥマ郊外を標的とした同様の攻撃があった。攻撃はアサド政権によるものとみられている。

 シリア人権監視団によると、2月4日にはイドリブ県サラケブ(Saraqeb)で政権軍による空爆後に「悪臭」が漂い、「窒息」症状を訴える11人が治療を受けた。国連調査団は今月6日、サラケブとダマスカスの東グータ地区に対する化学兵器の使用に関して調査を行っていることを明らかにしている。(c)AFP