■米国からの「外国人戦闘員」少なさ

 調査の結果、米国からの参加者にみられる特徴がいくつか見つかった。経歴や素性、出身州はさまざまだったが、欧州出身の戦闘員と比べて、より裕福でまとまりの良いイスラム共同体の出身者が多かった。

 64人の平均年齢は27歳で、男性が89%を占めた。米国籍または永住権保有者は70%。少なくとも22人がシリアで死亡し、12人が自らの決断または拘束され帰国した。その他の行方は分かっていない。

 報告書によると、米国からの「外国人戦闘員」が少ない理由のひとつには、イスラム過激派志望者として不法過激派集団を支持する姿勢を根拠に、米国法が警察の早期介入をより容易にしていることがあるという。

 もうひとつの理由は欧州と比べて志望者同士のネットワーク構築が困難なことだ。イスラム教徒が多いミネソタ州には、お互いにつながりのある15人がISへの足がかりとして利用を試みたグループが1つあったが、その他では手助けをしてくれるのはせいぜい友人や親類1人のみで、 IS勧誘員のオンラインでの案内に頼ることが多いという。

 調査報告書の作成者らは、ISの勧誘における特定のパターンがないことから、対処するための取り組みでは今後も混乱がみられるだろうと指摘する。「歴史的にみれば、今後も大規模な過激派の動員が起きると考えられる。米国は過激派の渡航に対抗すべく、先回りして包括的戦略を展開する必要がある」 (c)AFP/Paul HANDLEY