【2月7日 AFP】イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に米国から合流する志願者らは、欧州からの志願者と比較してより大きな困難に直面するケースが多いとの調査報告が5日、発表された。支援ネットワークの薄さと志願者らの実地経験の乏しさから非戦闘部門での単純作業を強いられるのだという。

 ジョージ・ワシントン大学(George Washington University)がまとめた調査報告書「The Travelers」によると、米国の志願者がシリアやイラクの戦場を目指す際、現地での人脈が限定的であることから、SNSを通じた情報に頼る傾向がみられるという。

 しかし現地に辿り着けたとしても、馴染みのない土地と想像以上に大きな文化的対立に直面し、その失望から投獄覚悟で帰国を模索するケースも少なくないと報告書は指摘。「帰還者の多くにとって、イスラム過激派の占拠地での生活は期待に沿うものではなかった」としている。

 さらに「実際の生活環境はネットで提供されている情報や動画のものより格段に厳しく、期待通りの人的関係が構築されることもまれ」としながら、「むしろ、文化的な衝突や、新規合流者と指導部との激しい内紛と疑念にあふれている。米国からの参加者は戦闘経験がほぼ皆無であることから、潜伏場所の掃除や料理、病人と負傷者の介護担当に配置される」と説明した。

 今回の報告書は、IS、あるいは「シリア征服戦線(Jabhat Fateh al-Sham)」(旧アルヌスラ戦線、Al-Nusra Front)といったグループの活動に参加した米国人推定300人のうち64人を対象行った調査結果をまとめたものだ。

 欧州から渡航して戦闘に参加した人数は5000~6000人とされており、これと比べると米国からの参加者はかなり少ない。フランスからは900人、英国からは750人が合流したとされている。

 調査報告書はまた、裁判文書、面接、インターネット投稿など、膨大なデータベースおよび過激派によるツイート100万件の一覧も調査の対象とした。