【2月7日 AFP】ポーランドのアンジェイ・ドゥダ(Andrzej Duda)大統領は6日、ナチス・ドイツ(Nazi)によるホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大量虐殺)が行われた強制収容所を「ポーランドの死の収容所」と表現することなどを禁じた法案に署名し、同法は成立・発効した。

 同法はポーランドの対外イメージを守ることを狙いとしているが、イスラエルの強い反発を招いており、米国やウクライナとの外交関係にも緊張を生み出す結果となった。

 ドゥダ大統領は同法が言論の自由の保障に適合しているか、憲法裁に審査を求める意向を示した。

 同法はナチス政権下のドイツ第三帝国(Third Reich)が犯した罪、その他の人道に対する罪や戦争犯罪にポーランドが責任あるいは共同責任を負っていると主張した人物に、罰金または3年以下の禁錮刑を科す内容。アウシュビッツ・ビルケナウ(Auschwitz-Birkenau)強制収容所が、単にポーランド国内にあったという理由から「ポーランドの収容所」と言われないようにするのが同法の主な目的だ。

 イスラエルは、ユダヤ人虐殺に関与もしくはナチスに協力したポーランド人について語るホロコースト生存者が、この法律によって処罰されかねないとして強い懸念を表明している。

 しかしドゥダ大統領や政府高官らは、同法は歴史的事実に基づいてホロコーストについて語る個人の言論の自由を制限するものではないと強調している。

 イスラエルは同日、「ポーランド政府が同法の修正に同意することを望んでいる」と表明し、ポーランド政府に引き続き働きかける姿勢を示した。(c)AFP/Mary SIBIERSKI