【2月7日 AFP】インド洋の島国モルディブの最高裁判所は6日、先に出していた有力政治囚9人の釈放命令を撤回した。前日にはアブドラ・ヤミーン(Abdulla Yameen)大統領が非常事態宣言を出し、最高裁判事5人のうち2人を逮捕していた。

 残る3人の判事は、「大統領が示した懸念を考慮し」、政治囚らの釈放命令を撤回するとの声明を出した。

 最高裁は1日、判事全5人の署名により、野党指導者のモハメド・ナシード(Mohamed Nasheed)元大統領らに対するテロ罪での有罪判決を破棄することを決定。反体制派を支持する内容の最高裁決定は、ナシード氏が亡命先から帰国し、今年予定されている選挙に出馬する道を開くものとして衝撃をもって受け止められていた。

 さらに、この決定は政府に対し、ヤミーン大統領の与党を離党して議員資格を剥奪された12人の復職も命じていた。これが実現すれば野党が議会で過半数を占め、大統領を弾劾することが可能だった。

 しかし同大統領はこの命令に応じることを拒否。代わりに15日間の非常事態を宣言し、治安部隊に広範な逮捕・拘束権を与える一方、裁判所と議会が大統領を弾劾する権限を抑制した。

 ナシード氏率いるモルディブ人民主党(MDP)は、最高裁が命令を撤回したのは、3人の判事に圧力がかけられたせいだと訴えた。

 ヤミーン氏は大統領に就任した2013年以降、反政府勢力に対する締め付けの強化を主導し、高級観光リゾート地としてのモルディブのイメージダウンを招いている。(c)AFP