■廃炉作業の初期段階は終わりに近づいたが…

 原発事故から7年を迎えるに当たり、3号機原子炉建屋の最上階に近づくことを特別に許可されたAFP記者が目にしたのは、深い3号機プールにためられているよどんだ水だった。その下には560本以上の燃料棒が置かれている。

 防御服に手袋、全面マスクを身に着けた作業員らは最上階に1日最長2時間までしかいられない。隅々に下げられた線量計が現在の放射線量を表示している。

 建屋の上部には今、巨大なドーム状の鋼鉄製の屋根を設置する工事が進められている。今年後半には燃料棒をプールから離れた保管場所に移すことになっており、その際、放射性物質が漏れるのを防ぐためだ。

 廃炉作業の初期段階は終わりに近づいているが、東京電力ホールディングス福島第一廃炉推進カンパニー廃炉コミュニケーションセンター取材グループマネージャー廣瀬大輔(Daisuke Hirose)氏によると、最大の課題は高線量との長期に及ぶ闘いだ。

「作業員の被ばく量をできるだけ下げなければならない。しかし、そうすると長く作業ができない。線量を低く、しっかり管理した計画値の中で働いてもらうというのが普通の現場との違いです」と、廣瀬氏は話した。

 廃炉および除染、賠償にかかる費用は推定総額21兆5000億円に上るとされており、東京電力は同原発の廃炉の目標を30~40年後としている。(c)AFP/Shingo ITO