【2月6日 AFP】国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長は平昌冬季五輪を4日後に控え、五輪の精神が分断された朝鮮半島のすべての人々に「現実的な希望」をもたらしたと述べた。また、北朝鮮による核の脅威が高まった時期も代替策を協議したことはなかったと断言した。

 バッハ会長は5日に開かれたIOC総会の開会式で、国際社会で孤立していた北朝鮮が数か月に及んだ好戦姿勢を改めて平昌五輪への選手団派遣に合意して以来、平昌五輪は開催に向けて大きく前進したと演説。「2018年の平昌五輪は朝鮮半島の新たな幕開けのきっかけとなった」と述べ、平昌五輪が平和的な南北対話に向けた扉を開いたとの見方を示した。

 さらにバッハ会長は、現在も法的には戦争状態にある韓国と北朝鮮を隔てる軍事境界線で南北に分断された朝鮮半島での五輪開催は「長く厳しい道のりだった」と明かした。

 平昌五輪の開催地は軍事境界線からわずか50キロしか離れていない。昨年には北朝鮮が相次いでミサイル発射実験を実施し米朝が威嚇合戦を繰り広げるなど朝鮮半島で緊張が高まり、フランス、ドイツ、オーストリアなどの委員からは一様にこうした時期に韓国へ選手団を派遣することを懸念する声が上がった。

 だがバッハ会長は「政治的な状況ではしばしば緊張が発生したが、IOCは常にホスト国の韓国に寄り添い支えてきた。プランBについて話し合ったことは一度もない」と言明した。(c)AFP