【2月2日 AFP】米ミシガン州の警察当局は1日、同国体操連盟(USA Gymnastics)の元チームドクターであるラリー・ナサール(Larry Nassar)被告から10年以上前に性的虐待を受けていた女性に対し、被害の訴えを信じなかったとして公の場で謝罪した。

 ブリアン・ランドールゲイ(Brianne Randall-Gay)さんは当時17歳だった2004年、ナサール被告から性的虐待を受けたとして、ミシガン州メリディアン郡区(Meridian Township)の警察署に被害を申し出た。しかし、被告は自分の行為が正当な治療であると警察に信じ込ませ、捜査は打ち切られてしまった。

 記者会見に臨んだデイブ・ホール(Dave Hall)署長は、シアトル在住のためビデオ通話で姿を見せたランドールゲイさんに対し、「われわれは欺かれました。できるものなら取り返したい」と謝罪。行政区の責任者であるフランク・ウォルシュ(Frank Walsh)氏も、涙をこらえながら「あなたを失望させてしまいました、ブリアン」と述べた。

 ナサール被告から暴行を受けていたのは、五輪メダリストを含めて少なくとも265人の少女に上っており、ランドールゲイさんも被害者の一人であることが確認された。被告は先月24日に40年から175年の禁錮刑を言い渡されており、さらに別の性的暴行事件について答えるために今週再び出廷した。

 感情を揺さぶられる裁判として全米がくぎ付けになっている中、法廷でナサール被告と対面した被害者158人のうちの一人として出廷したランドールゲイさんは、事件当時にレイプキット(性的暴行の証拠を収集するキット)を提出したにもかかわらず、治療を誤解していると訴えた被告の話を捜査官が信じ込んでしまったと証言。「訴追にもいたらず、失望しました。無視されたと感じました」と話した。(c)AFP/Nova SAFO