【2月2日 AFP】スポーツ仲裁裁判所(CAS)は1日、ドーピング違反を指摘されていたロシア選手28人に対する五輪永久追放処分を解除した。この決定は同国政府に歓迎されたものの、平昌冬季五輪の開幕が数日後に迫る中、国際オリンピック委員会(IOC)は大きく困惑する事態に直面している。

 CASが下した今回の裁定では、28人の選手がロシアで開催された2014年ソチ冬季五輪において、国家ぐるみのドーピングに関与した証拠が「不十分」だったと判断された。

 ソチ五輪のクロスカントリースキーで金メダルを獲得したアレクサンドル・レグコフ(Alexander Legkov)もその中に含まれ、来週開幕する平昌五輪への出場資格は得られたものの、実際に参加できるかどうかは定かではない。

 IOCは平昌五輪について「制裁が解除されても、自動的に招待を受けられるとは限らない」と説明。CASの裁定についても、「ドーピングとの将来の闘いに、深刻な影響を及ぼす可能性がある」と警告し、「IOCは内容を確認し次第、妥当な判断であるか慎重に分析した上で、CASに提訴することを含め結論を出す」と声明で述べた。

 ロシアはドーピング問題で平昌五輪への選手団派遣を禁止されているものの、クリーンと判断された169人は中立の立場で参加することが認められている。五輪の出場を禁止されたことに不服を申し立てていたロシア選手は、ボブスレー、クロスカントリースキー、スケルトン、そしてアイスホッケーなど、今回潔白が証明されたグループを含めて42人に上っていた。

■証拠不十分

 CASは潔白と判断した28人のほかに11人の永久追放処分を取り消したが、平昌五輪への出場は禁止した。裁定理由として、「28件については、反ドーピング規則への違反に選手が関与したと立証する証拠が不十分だった。この問題に関してIOCから提出された証拠は、各個人のケースに等しくあてはまるものではなかった」と説明している。

 今回のCASの判断には、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領をはじめとしたロシア政府が温かく歓迎しており、ドミトリー・ぺスコフ(Dmitry Peskov)大統領報道官は報道陣に対して、「わが国のアスリートのために非常に喜ばしい」と述べた。

「CASの決定によって、法廷や他の場所において、自分たちの権利を求めて立ち上がったわれわれの努力が証明された。これは正義であり、有効かつ持続的なものでなければならない。そして、この努力が今後も続くことを期待している」

 同報道官はまた、訴えが認められた28人が平昌五輪に参加するかどうかについては定かではなく、「それは難しい問題だ」と付け加え、ロシア政府としてIOCと協議を続けていくと述べた。(c)AFP/Charles WHELAN, with Eric BERNAUDEAU in Lausanne