【2月2日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)でレース前に広報などを行う「グリッドガール」の廃止が決まったことについて、元興行主のバーニー・エクレストン(Bernie Ecclestone)氏は1日、「上品ぶっている」と批判した。先月にはダーツ界でも、試合前にプレーヤーが女性同伴で歩くことを禁止するという同様の動きがあった。

 F1ではグリッドガールがチームのプラカードを掲げたり、レース前にマシンで待機しているドライバーに傘をさして立ったりする光景が当たり前となっていた。しかし、フェミニスト団体などは、スポーツ界が女性を単なる「飾り物」として扱い、依然として男性優位の競技の世界では、女性選手の立場を真剣にとらえていないと訴えてきた。

 しかしながら、米リバティメディア(Liberty Media)に興行権を売り渡すまで数十年にわたりF1の「リングマスター」として君臨してきた87歳のエクレストン氏は、今回の動きに異論を唱えており、英大衆紙サン(The Sun)に対して、「この国(米国)は今、少し上品ぶったところが増している」という見解を示した。

「グリッドガールの存在を認めるべきだ。なぜなら、ドライバーも観客も彼女たちに好意的で、誰も問題視などしていない。あの女の子たちはショーの一部だ。ルックスの良い女の子たちがドライバーと一緒に立っていたり、F1マシンの前にナンバーを掲げていたりしても、誰も傷つけることにはならない」

■「21世紀に歓迎する」

 しかし、F1商業部門の責任者を務めるショーン・ブラッチズ(Sean Bratches)氏は先月31日、「グリッドガールを雇用することは、F1では数十年間にわたり行われてきたものの、こうした慣例はわれわれのブランド価値と共感するものではなく、現代の社会規範にそぐわないことは明白だ」と述べていた。

 一方、ガソリンを燃料にするF1と比べて環境にやさしい電気自動車(EV)で競う選手権「フォーミュラE(Formula E)」は、今回の変更を歓迎しつつも、もっと早く行われるべきことだったと強調した。

 フォーミュラEの広報担当者は英オートスポーツマガジン(Autosport magazine)に対し、「F1を21世紀に歓迎する」とすると、「フォーミュラEでは、すでに昨年からグリッドガールの起用をやめているが、そのことについて騒ぎ立てる必要性は感じない」と話した。

 それでも、一部のグリッドガールは失業の危機に直面していることに不満を訴えており、ルーシー・ストークス(Lucy Stokes)さんは自身のツイッター(Twitter)に、「私はこの仕事を愛しています。働いているチームを代表してきちんと敬意を払われ、良い給与も頂いています。私たちの仕事を批判する権利は、『フェミニストたち』はもちろん、誰にもありません。率直にいえば、彼らが大勢の女性から仕事を奪っているのです。平等と権利はどこに?#GridGirls#F1」と投稿した。

 また、別のグリッドガールであるレベッカ・クーパー(Rebecca Cooper)さんも、「この状況を阻止しなければ、どこに行きつくことになりますか?グリッドガールもチアリーダーもいなくなり、女性歌手がステージでどんな衣装を着るのかも指図されてしまいます。雑誌からモデルもいなくなるの?私は自分がどんな服を選び、どの職場で愛する仕事を続けいくのかを決める権利のために闘います。#fightformyrighttochoose(自分が選ぶ権利を求めて闘う)」とつづった。(c)AFP