【2月1日 AFP】がんの生存率は世界中で上昇傾向にあるが、国による大きな格差が依然として存在することが、1月31日に英医学誌ランセット(The Lancet)で発表された国際的な大規模調査で明らかになった。また、一部のがんはいまだに世界のどの国でも治療困難な疾患となっているという。

 世界71か国における18種のがんを対象とする国際共同研究「CONCORD-3」の調査結果によると、この進歩と格差は特に小児がんに関して大きい。

 例えば小児脳腫瘍については、5年生存率が全体的に向上しており、2000~2004年には54%だった割合が、2010年~2014年には60%超にまで上昇。国別に見ると、米国、デンマーク、スウェーデン、スロバキアなどでは80%以上にまで向上したのに対し、メキシコやブラジルでは、2010~2014年の同生存率は40%足らずだった。

 最も多くみられる種類の小児がんである急性リンパ性白血病についても同様に、カナダ、米国、欧州の9か国などでは5年生存率が90%を超えるまでに上昇した一方で、中国やメキシコでは60%未満にとどまった。

 論文の執筆者らは、声明で「この結果は診断治療サービスの受けやすさと質を反映している可能性が高い」と述べている。

 乳がんに関しては、今回の調査によると、世界中で全般的な向上がみられた。米国とオーストラリアで乳がんと診断された女性の場合、2010~2014年の5年生存率は90%だった。16の欧州西部諸国では85%に向上し、東欧諸国は71%だった。インドでは、同期間で66%に上昇した。

 肝臓がんと肺がんは富裕国と途上国の両方で、依然として5年生存率が低水準にとどまっているが、この20年でいくらかの前進がみられている。

 1995~2014年の20年間で、肝臓がんの5年生存率は韓国で11%から27%、スウェーデンで5%から17%、ポルトガルで8%から19%へとそれぞれ上昇した。

 肺がんも同様に、英国を含む21か国で5~10%上昇した。最も大きな前進がみられたのは中国(8%から20%)、日本(23%から33%)そして韓国(10%から25%)だった。