【1月30日 AFP】「とてつもない重圧」の中で料理するのはもうたくさん──レストラン格付け本「ミシュランガイド(Michelin Guide)」への非掲載を求めていたフランスの三つ星レストランについて、ミシュラン側は30日、同店を2018年度版から除外する方針を明らかにした。店側の要請を受けて掲載を取りやめる事例はこれが初めてだという。

 美食のバイブルとうたわれる同ガイドへの非掲載が決まったのは、三つ星を18年間保持してきた南仏ライヨール(Laguiole)のレストラン「ルシュケ(Le Suquet)」。同店を営むシェフのセバスティアン・ブラス(Sebastien Bras)氏(46)は昨年9月、AFPの取材に応じ、たった1皿並以下の料理を出したばかりに自身の名声に傷が付きかねないという意識にさいなまれ続ける状況に、もうこれ以上身を置きたくないと語っていた。

 ミシュランのクレール・ドルラン・クローゼル(Claire Dorland Clauzel)氏は、シェフの引退や店のコンセプト変更といった理由を除き、こういった形で公式に非掲載を決めたのは今回が初めてだと語り、来月5日に発行される2018年度版にルシュケは掲載されないと明言した。

 ブラス氏は昨年の取材時、「年に2~3回、(ミシュランガイドの)調査があるが、それがいつかは分からない。提供する料理すべてが調査対象となる可能性がある」「つまり、毎日厨房(ちゅうぼう)から出される料理500皿の中の1皿が、その調査に当たるかもしれない」と述べていた。

 10年前、父親のミシェル(Michel Bras)氏から店を引き継いだブラス氏は、ミシュランガイドからの撤退について「知名度は下がるだろうが致し方ない」と語り、今後は「自分の創作料理がミシュランの調査員に受けるかどうか悩むことなく」、同店の歴史における「新たな章を始めたい」と述べた。(c)AFP/Anne-Laure MONDESERT, Fiachra GIBBON