■収量減少への覚悟

 有機農業がまだ広がっていないにせよ、シャンパーニュ地方の農薬・化学肥料使用は減り続けている。業界団体「シャンパーニュ委員会(Comite Champagne)」によると、同地方では過去15年間で窒素肥料と農薬の使用が半分に減ったという。

 またシャンパーニュ委員会は2014年、同地方のために特別に定めた「持続可能なブドウ栽培」の独自の認証制度を開始した。これまでに、同地方の3万4000ヘクタールのブドウ畑のうち4000ヘクタール以上が認証を受けている。

 しかし、有機農業への切り替えを急ぐ大手シャンパンメーカーはほとんどない。ルイ・ロデレールのセラーマスター、ジャンバティスト・ルカイヨン(Jean-Baptiste Lecaillon)氏は、化学肥料や化学処理を使わないのであれば、数年後に収量の10~20%、あるいは30%程度までを失う恐れがあることを受け入れる覚悟がなければならないと指摘する。

 ただ、シャンパンメーカーが有機農業への転換を急いでいないのは「経済的な短期主義」の問題だけではない。まず、大手シャンパンメーカーのほとんどがブドウの大半を生産農家から買い付けているため、生産農家も有機に転換する必要が出てくる。

 また有機シャンパンはまだ市場シェアが小さくスーパーマーケットの棚に並ぶことはめったにないため、消費者からの有機への転換を促す圧力もほとんどない。(c)AFP/Fanny LATTACH