【2月4日 AFP】仏シャンパーニュ(Champagne)地方では、環境に優しい有機農業でシャンパンはさらに繊細な味わいになるという見方がある一方、有機農業への転換は遅々として進んでおらず、バブルが沸き立つようなブームにはなっていない。

 農薬や化学肥料の使用を避ける有機農業自体は近年フランスでもブームになっており、ワイン業界も注目している。フランスの官民で運営する有機農業振興団体アジャンス・ビオ(Agence BioAB)によれば、2015年にフランスで有機農業の農地(有機農業へ転換中のものも含む)は全体の約5%、ワイン関連に限れば8.7%に上ったが、シャンパーニュ地方ではわずか1.9%にとどまった。もっとも、アジャンス・ビオの認証を受けた農地は2015年から2017年の間に14%増えている。

 有機農業は、すぐに利益を得ようとしたり流行に飛びつこうとしたりする人には向いていない。有機シャンパン組合のパスカル・ドケ(Pascal Doquet)代表は、「しゃれたシールをラベルに貼りたいだけなら、すぐに失望しますよ」と語る。

 ドケ氏は、有機農業への転換を始めてから有機栽培であることを証明するアジャンス・ビオのシールを貼ったボトルを初出荷するまでに6年かかったという。

 高額な価格設定を可能にするシャンパンの品質や価値は時間をかけて熟成させることで生まれるが、これは有機農業への転換には足かせとなる。

 農地を有機農業に転換するには3年かかる上、シャンパンは少なくとも15か月間ボトルの中で熟成させなければならないという決まりがある。さらに長い期間熟成させる生産者も多い。

 多くの有機農家にとって、有機農業は農法であると同様に哲学でもある。ドケ氏は自身について、ブドウの木の「抵抗力」を育てる「本物の農家」になる必要があったと語り、他のワイン生産者は単なる「技術者」にすぎないと話した。