【1月29日 AFP】トルコによるシリアのクルド人武装組織に対する軍事作戦が続くなか、3000年前に建造されたシリア北部の神殿がトルコによる空爆で破壊されたことが分かった。シリアの文化財保護当局と在英NGOのシリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)が明らかにした。

 破壊されたのは、鉄器時代のヒッタイト新王国のアインダラ(Ain Dara)神殿。紀元前1300年から紀元前700年ごろにさかのぼり、現在、クルド人勢力が支配するアフリン(Afrin)地域にある村にちなんで名づけられた。

 トルコは20日から、民兵部隊「クルド人民防衛部隊(YPG)」のアフリンからの排除を目指す「オリーブの枝」作戦を進めており、シリア反体制派と合同で地上作戦と空爆を展開している。

 シリア人権監視団によると、アインダラ神殿は26日の空爆で破壊されたという。監視団のラミ・アブドル・ラフマン(Rami Abdel Rahman)代表は「最大60%が破壊された」と述べた。

 シリアの文化財保護当局は「アラム人が紀元前1000年紀にシリアで建造した最も重要な遺跡の一つ」が攻撃を受けたと確認した。

 当局の元幹部のムーン・アブドルカリム(Maamoun Abdulkarim)氏によれば、神殿は1982年に発見され、珍しい玄武岩でできた巨大なライオン像で有名。

 アブドルカリム氏はAFPに「3000年の歴史を持つ文明が空爆によって破壊された」と述べ、空爆を非難した。(c)AFP