【1月26日 AFP】欧州司法裁判所(European Court of Justice)は25日、交流サイト(SNS)大手の米フェイスブック(Facebook)を相手取りプライバシー侵害の集団訴訟を起こそうとしていたオーストリア人男性の訴えを却下した。一方で裁判所は、個人での訴訟は可能だとしている。

 訴えを起こしていたのは、権利擁護活動家のマックス・シュレムス(Max Schrems)氏。オーストリア、ドイツ、インドのフェイスブック利用者7人の代理として、個人情報に関わる権利侵害行為を理由に同社のアイルランド法人を相手取った集団訴訟をオーストリアの裁判所に提起していた。訴えは当初却下されたものの、後に控訴裁によって取り上げられ、最終的にオーストリア最高裁が欧州司法裁判所に付託した。

 シュレムス氏は今回の欧州裁判所の判断を勝利としてとらえ、今度はオーストリアの裁判所でフェイスブックのアイルランド法人を相手取った個別訴訟を起こす意向を表明。

「フェイスブックは3年間にわたりオーストリアの裁判管轄に対し全力で争った末に負けた。これでようやく、訴訟を進めることができる」「フェイスブックは今後、中立な裁判所に対し、自社のビジネスモデルが欧州の厳しいプライバシー法に準じているかどうかを説明しなければならない。これは同社にとって大きな打撃だ」と声明で述べている。

 一方のフェイスブックは、欧州司法裁判所の判断を歓迎し、同氏の訴えの「解決」に向けて前向きに取り組む姿勢を示した。

 シュレムス氏は以前にも、欧州連合(EU)域内から米国への個人情報のデータ転送を認める欧米間の協定について訴訟を起こし、同協定を無効とする判決を勝ち取っている。(c)AFP