【1月25日 AFP】米国では今年に入り、学校での発砲事件がすでに11件発生しており、学校が突発的な銃暴力に対し脆弱(ぜいじゃく)であることが改めて浮き彫りになった。当局には、こうした事件を未然に防ぐすべがないようにも見受けられる。

 米ケンタッキー州ベントン(Benton)の町にあるマーシャル郡高校(Marshall County High School)で、新学期の初日を迎えた今月23日、15歳の男子生徒が拳銃を発砲し、14人が撃たれ、15歳の男子生徒と女子生徒計2人が死亡。銃撃以外の原因で負傷した5人を含め、10人以上が負傷した。

 前日の22日には、テキサス州の学校のカフェテリアで10代の女子生徒が銃で撃たれて負傷。同日ニューオーリンズの高校の駐車場でも14歳の少年が銃弾によるかすり傷を負った。

 この他、アイオワ州でのスクールバスを狙った発砲事件をはじめ、ワシントン州シアトルの学校やカリフォルニア州南部の大学キャンパスなどでもこうした事件が最近、立て続けに発生している。

 こうした事件は大半の先進国では大ニュースとなるが、米国では全国的な関心を集めることがほとんどない場合が多い。ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領もケンタッキー州の事件については何のコメントも発表しなかった。

■避難訓練していなければ被害者増えていた可能性も

 銃規制を提唱しているNPO団体「エブリタウン・フォー・ガン・セーフティー(Everytown for Gun Safety)」によると、2013年1月以降、全米の少なくとも283校で発砲事件が発生し、平均すると毎週1校で発生していることになるという。

 米連邦捜査局(FBI)による2000~2013年の間に発生した「アクティブシューター(無差別殺傷事件)」についての研究では、発生頻度が年々増加していることが判明している。

 研究対象となった事件の70%では、銃撃は5分以内に行われ、警察は効果的な対応を取ることができなかった。また同24%では、銃の発砲事件が教育現場で発生していた。さらに、校内で銃を発砲するのは、大半のケースで生徒だ。

 コネティカット州ニュートン(Newton)のサンディフック小学校(Sandy Hook Elementary School)で児童20人、大人6人が死亡した2012年の銃乱射事件以降、警報発令や避難訓練を行う学校が全米で増加している。目的は、無差別に銃を乱射する銃撃犯にどう対処すべきかを生徒たちに教えることだ。

 ケンタッキー州警察は、マーシャル郡高校でも最近こうした訓練を行っていたことを明らかにしている。訓練を行っていなかったら、より多くの犠牲者が出ていた可能性もある。(c)AFP/Sébastien BLANC